物理学科3年生物理学専攻博士前期課程1年生物理学科卒業生高校生の頃、物理現象が数式で書かれていることにすごく不思議さを感じました。物理を学ぶ以前、僕にとっての数学は、数式を使ったパズルゲームみたいな無味乾燥な印象でした。ですが、その数学が、宇宙を説明しようとするときには自然な言語になりうるということがとても不思議で魅力に感じ、物理学科への進学を決めました。大学進学後、力学、電磁気学、解析力学、熱力学、量子力学、光学、統計力学、物性物理学など幅広い分野を学びました。他にもこれらの物理の習得に必要な数学やプログラミングについても学びましたし、実験や演習形式の講義私が今携わっている研究は「量子鍵配送」の研究です。少しわかりやすくご説明すると、情報をやりとりする際、その情報に暗号をかけるため「秘密鍵」が必要となります。鍵の生成にはレーザー光が用いられ、ランダムに変化させた波の振幅や位相などを鍵の情報として扱います。第三者によって盗聴されたとしても、光子の量子力学的性質から鍵の状態が変化するため、盗聴を検知することができるのです。このことから光を用いた暗号技術は安全な情報通信のために進められている重要な研究なのです。大学院では、学会で自分の研究成果を発表するなど、学部ではなかなか経験できないことも学問の知識だけでなく、問題に立ち向かう姿勢やプレゼンテーションの準備などについても、少人数教育のなかで丁寧に(時には厳しく)指導してもらったことを覚えています。社会に出てから、そういう教育の重要性をますます痛感しています。今は後輩たちに「流体力学」を講義していますが、「考える大切さ」を感じてもらうよう心がけています。もあります。日常生活でも物理学科を選択して良かったと感じる点は多く、例えば難しいことを考えようとするときに、いきなりむやみやたらに考え始めるのではなく、まず問題をきちんと把握・設定したり、その問題にかかわる本質的なパラメータが何かを考えたり、この問題と似たもう少し簡単な問題がないかを考えたりするところから始めるといった癖がつきました。もちろんすべての問題がこうすることで解決するわけではないですが、物理学科に在籍する以前と比べると問題の見通しが良くなって闇雲に頭を悩ますことが少なくなりました。多々あります。私自身もポスター発表者として国際シンポジウムに参加し、大学や国の垣根を越えて様々な研究者と近い距離で交流することができました。議論を通してより自分の研究内容への興味と理解が深まり、さらなる研究への意欲に繋がりました。学習院大学では、実験や演習・論文などの内容を、スライドにまとめて口頭発表する機会が多い所も魅力だと思います。発表準備の際に、担当のTA(ティーチングアシスタント)や先生方が手厚く指導して下さるため、社会に出た時に必要となるプレゼンテーション能力を身に付けることもできます。別研究員1997年10月 航空宇宙技術研究所研究員2004年 4月 青山学院大学客員准教授(連携大学院方式)を兼務2013年10月 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 航空技術部門 研究領域主幹2018年 4月 学習院大学理学部客員教授に着任【業務等】航空機の摩擦抵抗を低減するため、境界層の層流-乱流遷移の研究に従事。「次世代超音速機技術の研究」プロジェクトでは2005年10月に実施した小型超音速実験機の飛行実験で主翼の性能実証を担当。2009年度から流体力学の講義を担当。【受賞等】第10回「空を愛する女性たちを励ます賞」(社団法人 日本女性航空協会)1990年 3月 学習院大学理学部卒業1995年 3月 東京農工大学大学院博士後期課程修了1995年 4月 東京大学大学院理学系研究科大学院研究生1995年10月 科学技術庁航空宇宙技術研究所科学技術特自然の成り立ちや日常生活にも役立つ、物理学との関わり。国際シンポジウムに参加し、より研究への興味と理解が深まった。物理学科の最大の魅力は先生と学生との距離が近いこと。DEPARTMENT OF PHYSICS | 08研究のレベルは驚くほど高く、同規模の私立大学の中では群を抜いています。メンバーのうちの何人かは、分野のリーダーとして世界的に知られる研究者です。
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