生命科学科

生命の謎を解き明かす現代の学問

2009年より設置。生命科学の中心となる分子細胞生物学を主軸とし、タンパク質の構造、
微生物の生理機能、DNA修復機構、シナプス神経伝達機構、ミトコンドリアの機能、植物ホルモンのはたらき、
ショウジョウバエの老化、カイコの食性進化などを研究しています。この学科で「知の興奮」を体験してください。


専門科目

【生化学】【動物科学】【植物科学】【発生生物学】
【野外生命科学】
【生命科学演習】【生物物理化学】
【分子細胞生物学】
【生命科学研究法】

生命科学分野の研究成果は、医療や創薬などに貢献する可能性が大きいことから、
社会による関心と期待も日々高まりつつあります。

より幅広い分野を学び、新鮮な知識との出会いがある。

生命科学科2年生

高校時代の生物の先生が、授業中に話してくれていた生物に関する余談が毎回とても面白く、生物という学問に興味が湧き、生命科学科へ進学しました。

学習院大学の生命科学科は、1学年約50人という少人数で、みんなと親しい関係になれるだけでなく、教授との距離も近く質問しやすい環境であることに本当に救われています。わからない内容があったら、その場で教授や友達に質問することができ、疑問をすぐに解決することができます。また、他の大学の生物系の学科では学べる学問分野がかなり限られていることが多く、高校時代に「この分野だけを学びたい!」と決めることができなかった私にとって、選択することがとても難しかったです。学習院大学の生命科学科では、さまざまな分野を学ぶことができ、さらに生命現象について学ぶため身近に感じられる事も多く、全く知らなかった新たな分野との出会いもあり、毎日新鮮な気持ちで充実した大学生活を送ることができています。

今の時点では、将来、大学院に進学し専門知識をさらに身につけ、企業の研究者として化粧品・食品業界に携わりたいと考えています。大学で学んだ生命現象を生かして、人々が使う商品をよりよいものにすることで、社会に貢献できたら嬉しいです。

自分が何をやりたいか、しっかり見据えて進路を決定することが大切。

生命科学専攻 博士後期課程2年生

現在、微生物由来の天然物およびそのエンジニアリングの研究に取り組んでいます。言葉だけではなかなかイメージがつきにくいかと思いますが、この研究は、微生物が作り出す化合物を調べるものになります。こうした物質は、例えば抗生物質や抗がん剤など、医療に利用されるものとしても知られています。また、環境や農業に役立つ物質もあり、私たちの生活を支える重要な役割を果たしているんです。微生物がどのように、またどんな物質を作り出しているのかを明らかにすることで、将来的には新しい医薬品の開発に貢献できるかもしれません。

この研究に興味を持ったきっかけは、微生物が作り出す天然物の奇抜さと多様性、その可能性に魅了されたことでした。

もともと東京大学で同様の研究をしていましたが、教授の異動に伴い、現在の研究室で研究を続け2年目になります。自分が何をやりたいか、どんな研究をしたいのか、で自分の進路を決めることはとても大事なことです。大学と大学院の違いは、受動的な学びから自主的な学びへと変化し、自ら行動して課題解決していく点だと思いますが、進路についても同様に自分が一番大切にしたいものを見据え、選択することが大事だと思っています。

課題を乗り越える時に役立つ、学習院での経験。

生命科学科 卒業生

現在、医療機関で治験が適切に行われているかどうかを確認する業務に携わっています。法規制や治験実施計画書を遵守することで、科学的な信頼性を確保し、患者さんの安全性を守ることができます。大学で学んだことと関わりのある分野で、新薬開発という社会貢献度の高い仕事に興味を持ちました。

在学中は、やるべき事をやり切る姿勢を学びました。研究において正解がない場面が多い中、何か月も試行錯誤し、諦めずにどうやったら上手くいくかを考え続けたことは貴重な経験です。研究を通して培った、物事を論理的に考える力や原因分析をする力は、今も仕事に大きく役立っています。また、学部4年生〜修士2年生の3年間で研究をやり切ったことが自分の中で1つの成功体験となっており、仕事で大変な場面があっても乗り越えられるという自信に繋がっています。

勉強や研究以外でも、所属していた大学祭実行委員会で、大学祭パンフレットを制作したことが最も思い出に残っています。チームで1つのものを作り上げる経験は今も仕事に役立っています。

  • 2020年3月学習院大学 理学部 生命科学科 卒業
  • 2022年3月学習院大学大学院
    自然科学研究科 生命科学専攻 博士前期課程 修了
  • 2022年4月株式会社エスアールディ 臨床開発部
生命科学科/教員紹介DEPARTMENT OF LIFE SCIENCE
  • 安達 卓
    アダチ タカシ安達 卓教授[動物生理学]
     
    安達教授の扱う生物材料は幅広い。遺伝学の研究で有名な小型のハエ=ショウジョウバエが中心であるが、他にも、長い棒の先に眼が付いたシュモクバエや、誰もが顔をそむける臭いカメムシまで、貴重な研究材料として大事に扱われる。けれども、ゲテモノ趣味なのかというと、そういう見方は間違っているらしい。なぜなら、他の生き物から見れば、人間こそが最大の風変わりな生き物だからだ。生物のもつ普遍的性質を知るには、ヒト中心の視点から脱却してどこまでも客観性を追求すべきであり、そのためには、どんなにムシがヒトと違って見えても、ヒトとの間に仕切りを作らないだけなのである。
  • 岡田 哲二
    オカダ テツジ岡田 哲二教授[構造生物学]
     
    ヒトの体内で働くタンパク質の約3割は、脂質二重膜の中に埋もれて存在する膜タンパク質である。水溶性のタンパク質と比べると膜タンパク質は研究が難しく、構造も機能も未だ多くの謎に包まれている。岡田教授は、われわれの視覚の鍵を握る膜タンパク質・ロドプシンの構造を初めて決定したことで世界的に知られる構造生物学の研究者だ。全身全霊をこめて最も困難なテーマに挑みつづける姿勢でつねに周囲をうならせてきた。新たな研究室では、X線回折や分光測定を駆使して、情報伝達に関わる膜タンパク質の構造と機能発現のメカニズムの解明をめざす。Thomson Scientific Research Front Award 2004、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞
  • 尾仲 宏康
    オナカ ヒロヤス尾仲 宏康教授[微生物科学]
     
    微生物は地球上全ての場所に存在しているが、目に見えないために私たちは普段気に留めることはない。だが実は微生物はとても多様性に富み、全ての生態系の基盤を担っている。有機物を分解したり、高等生物が作れない栄養素を合成したりして、豊かな大地を育んでいる。また、時には人類にとって有害な化合物を無毒化したり、薬になるような有用な化合物を産生したりもする。尾仲教授は薬を作る微生物の研究をしている。素晴らしい能力を持った、まだ見ぬ微生物達を日夜追い求め、その細胞内でどのようにして薬が作られるのかを調べ、医学への貢献を目指している。日本放線菌学会大村賞(学会賞)・日本感染症医薬品協会住木梅澤記念賞等受賞
  • 掛川 渉
    カケガワ ワタル掛川 渉教授[神経生理学]
     
    私たちの脳内において細胞どうしをつなぐ「シナプス」は、記憶や学習の形成過程を担うだけでなく、アルツハイマー病・自閉症をはじめとする多くの神経系疾患(シナプス病)に深く関わる重要な部位として近年注目されている。掛川教授は、電気生理学・マウス行動学的手法を駆使し、シナプスの形成動作原理を分子レベルで探究するとともに、シナプスを時空間的に操作しうる新しい技術を開発・応用することで、記憶・学習の分子的理解、さらには、シナプス病の病態解明・治療法開発に挑む。脳神経科学や生命の謎に魅せられた情熱あふれる学生たちよ、新規研究室にて存分に研究を楽しもう!文部大臣表彰若手科学者賞・日本神経科学学会奨励賞・日本生理学会奨励賞 等受賞
  • 清末 知宏
    キヨスエ トモヒロ清末 知宏教授[植物分子生理学]
     
    「研究を通じて養われる思考力と行動力、いわゆる問題解決能力は、社会に出てからも重要。一人ひとりの個性を互いに尊重し合い一緒に研究することで、学生とWin-Winの関係を築きたい」と話す清末教授。生命科学科で唯一植物を扱う研究室の教授だ。モデル植物シロイヌナズナのLOV光受容体の基礎研究と応用研究を展開。LOV光受容体LKP2とZTLが、短日条件での花芽形成を抑制していることを突き止めた。「研究は攻略本のないロールプレイングゲーム、知的な冒険」と語るその瞳には、未知への挑戦、ロマンを追い求める熱い情熱と輝きがある。日本植物細胞分子生物学会奨励賞を受賞
  • 嶋田 透
    シマダ トオル嶋田 透教授[生物遺伝資源学]
     
    嶋田教授は、日本の伝統的な生物遺伝資源であるカイコおよび近縁蛾類のゲノム研究の第一人者だ。変異体や地理的系統などを利用して、胚子、幼虫、蛹(繭)、成虫の各段階における形態、生理、行動、生体防御などを支配する遺伝子を解明している。特に、カイコの祖先がクワを唯一の寄主植物として利用するようになった理由など、長い時間をかけた生物進化と、人類による家畜化の機構を明らかにしようとしている。また、研究成果の産業への応用にも関心がある。「学生には、まずは実験や研究を楽しんでほしい。また、研究の過程を通して、社会で活躍するための力を得てほしい。」と話す。日本蚕糸学会賞を受賞
  • 菱田 卓
    ヒシダ タカシ菱田 卓教授[分子生物学]
     
    菱田教授は、少し髭を生やされてよく通るお声で話をされ、いつも洗練された講義資料を用意してくださる、いかにも研究と教育へのエネルギーが充実した先生だ。生命の設計図を担っているDNAが傷つけられてしまったとき、生物はどうやって正しい設計図をコピーするのか?数十億年の進化を経て編み出された驚くべき「損傷ストレス耐性機構」を解明するため、菱田教授は酵母や大腸菌を用いて慢性的な損傷ストレス環境を再現する独創的な実験系を開発した。ゲノム不安定性に起因する疾患の治療という未来をも夢に描きながら、メンバーが「楽しく、しかし、真剣に」研究に取り組める研究室を立ち上げたいと語る。日本遺伝学会奨励賞を受賞
  • 柳 茂
    ヤナギ シゲル柳 茂教授[分子生化学]
     
    ミトコンドリアの機能が低下すると、酸化ストレスが増加し、神経変性疾患や心臓疾患など様々な老化に関連した病気を誘発することが知られている。柳教授は、ミトコンドリアの形態と機能を調節する酵素MITOLを世界に先駆けて発見し、MITOLの活性低下が様々な病態に関連していることを示した。MITOL研究を通して、病態の解明と共に、病気の治療に向けてミトコンドリア機能を活性化する薬剤の開発に取り組んでいる。すでに製薬企業との共同研究により、MITOLの機能を調節する薬剤の同定に成功しており、アンチエイジング化粧品として商品開発が進んでいるとのこと。今後の活躍が期待される。日本生化学会奨励賞を受賞